新型コロナウイルスが世間を騒がせ、いまだ先行き不透明な状況が続いています。手洗いうがい、マスクなどで感染を防ぐというのはもちろんですが、自身の免疫力を上げてウイルスに負けない体をつくっていきたいもの。そこで今回は、免疫力をアップするツボをご紹介したいと思います。

免疫力アップに欠かせない2つのこと
ツボをご紹介する前に、免疫力をアップするために絶対に欠かせない2つのことについて書きます。
ひとつ目は「十分な睡眠」です。
免疫力をアップするには体を休ませることが何よりも大切です。
逆に、睡眠不足の状態では免疫力はどんどん下がっていきます。
日本人の4分の1は不眠と言われますから、寝たくても眠れないんだよという方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、早起きをして朝陽を浴びる習慣をつけましょう。適度な運動もいいですね。
それでもよく眠れないという方には瞑想をおすすめします。
1日2回、20分ほど瞑想しましょう。体力を回復するのにも役立ちします。
もうひとつは、「食養生」です。
何を食べたらいいの? 何を食べないほうがいいの?
それを言い出すときりがありません。難しく考えず、
・よく噛んで食べる
・旬のものを食べる
・腹八分目を意識する
・夜は少し控えめにする
この4つを意識しましょう。これができていれば基本的にOKです。
いつも頭の片隅に入れておけば暴飲暴食することもありません。
自分の体調を3ステップで簡単チェック
十分な睡眠と食養生ができているかどうか、簡単にチェックする方法があります。それは、
①朝、気持ちよく起きられるか
②起床後に空腹を感じ、朝ごはんを美味しく食べられるか
③朝すっきり排便できるか
です。朝起きたときに昨日の疲れが残っていたり、食欲がわかない状態では体調がいいとは言えません。
そして、免疫の70%を担うのは腸ですから、便の状態をチェックすれば、自分の免疫力をどの程度信頼していいか判断できます。
バナナ状で黄褐色、悪臭やきつい匂いのない便が理想です。
風邪をひきやすい、傷が治りにくいなど、免疫力の低下に思い当たるふしがあれば、朝この3つを順にチェックし、生活習慣を立て直すきっかけにしてはいかがでしょうか。
免疫力をアップするツボ
十分な睡眠が取れて食養生ができていれば、自然と免疫力はつきますが、相乗効果でさらにパワーアップするためのツボをご紹介します。
上記のとおり、体のおもな免疫は腸が担っています。つまり免疫力は腸の状態に左右されるのです。ですから、胃腸を整えるツボの代表である足三里(あしさんり)はぜひ覚えておいてほしい要穴です。
モクサアフリカという活動をご存知でしょうか。
結核というと昔の病気だと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、実は、現在も世界中で毎日4400人もの人々が結核により命を奪われています。
そんな現状をなんとかしたい、という思いから始まった活動がモクサアフリカです。
結核患者の多いアフリカでお灸による治療を行ない、結核治療薬による副作用を軽減したり、免疫力をアップして治癒効果を高めたり、施灸を取り入れる前の結核治療と比べて非常に大きな成果を上げています。そこで採用されているツボも足三里なのです。
足三里は養生穴として古くから有名で、かの松尾芭蕉も足三里に灸を据えて奥の細道を旅したといわれています。

足三里(あしさんり)
膝のお皿の下から指4本分(親指をのぞく)の幅下の高さで外側に指をすべらせて凹んだところにお灸をします。親指でやさしく押して気持ちのいいところで5秒くらいとめてもいいです。胃腸を元気にします。
胃腸を整えるツボとしてもうひとつおすすめしたいのが関元(かんげん)です。
丹田(たんでん)というと聞き覚えのある方も多いかもしれません。
関元は冷え性にも効果的です。
お腹が冷えて下痢をしやすい方などは毎日お灸をすることで体質改善が望めます。

関元(かんげん)
おへその真下で、指4本分(親指をのぞく)の幅下ったところにお灸をします。お腹を温めて胃腸を整えます。
衛気を強めるツボ
衛気(えき)とは体をまもる陽気のこと。体表(肌や粘膜)を覆うバリアのようなもので、さまざまな外邪(熱さ、寒さ、乾燥、湿気、ウイルスなど)の体への侵入を防ぎます。外的をシャットアウトしてくれる衛気を強めることは、即免疫力アップにつながるわけです。
この衛気のめぐりを良くするのが大椎(だいつい)。そして、大椎の少し下にある風門(ふうもん)というツボも体表防御作用があり風邪予防のツボとして有名です。
ひとりだとお灸や指圧は難しいので、背中の上、首の下あたりにカイロを貼ったり、ドライヤーやシャワーを当てて温めてあげましょう。
だいぶ暖かくなってきたので薄着をしたくなりますが、まだまだ寒暖差があり油断できません。首周りを冷やすと風邪を引きやすくなるので、薄手のストールを巻くなどして直接風が当たらないように気をつけましょう。免疫力を高めるためには大椎のあたりを冷やさないことが大切です。

大椎(だいつい)
頭を前に傾し、人差し指で頚椎を下りていきもっとも隆起している骨(頸椎の一番下で胸椎の直上)の下の凹んだところ。頭を左右に振ると、頚椎は動きますが胸椎は動かないので、わからなくなったら首を振って確かめてみましょう。温めると衛気のめぐりが良くなり体表のバリア機能が高まります。